【感想】丁寧に紡ぎ出すMr.Childrenの『永遠』

レビュー

Mr.Childrenの最新曲『永遠』の配信がスタートしました。

いつもならミスチルの新曲が出るとそれだけで10回20回と延々リピートして聴くんですが、『永遠』はちょっと違う。いつもみたいに積極的にリピートして聴く気にはなれない。

配信が始まってまだ数回しか聴いていない状態ですが、第一印象としての感想を書き記していきます。


永遠 by Mr.Children
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『永遠』は、7年ぶりに小林武史さんとタッグを組んで作られた曲。

ピアノで始まる優しいイントロ。

一旦音が止み、ゆっくりと言葉を紡ぎ出すボーカル。

初めて聴く曲でもスッと寄り添ってくれるメロディ。

桜井さんの得意とするバラードです。


ちょっと大袈裟にも聴こえるストリングスが、小林武史プロデュース時代のミスチルが戻ってきたんだなって、懐かしい気持ちにさせられます。

個人的には小林さんから離れたあとの、ロックバンドとしての新たなステージを示したMr.Childrenにすごくワクワクしていたので、そっちの方向で聴きたかった気持ちがあるのも正直なところですが。

とはいえ、奥行きを感じさせる音の響き方は『SOUNDTRACKS』以降で得たもの。


時間は、過去・現在・未来へと流れていく。

一瞬一瞬の音を丁寧に織り重ねていくことで、美しく、けれども儚く行き過ぎる時間そのものを表現しているように聴こえます。

音楽って不思議なもので、“いま”耳にしている音から“過去”や“未来”、いろんな想像が膨らんでいくんですよね。

昔好きだった風景を思い出してみたり、これから先起こるであろう出来事に期待を抱いてみたり。もちろん良いことばかりではなく、悲しい思い出や不安な気持ちもあるだろうけど。

空に残された白い飛行機雲を目で追っていたつもりが、いつの間にか自分のなかにある思い出を俯瞰し、反芻していたように。



曲は次第にクライマックスを迎え、ドラムが一番熱を持ったところで演奏がブツっと切れます。

『永遠』というタイトルからは想像していなかった、突然の終わり。


最初は戸惑ったけど、次第に不思議な感覚に包まれていくのに気付きます。

音がまだ耳に残っている感覚。


いつもなら早く2回目を聴きたいって思うのに、なかなか再生ボタンを押す気になれない。


さっきまでの音が震わせていたこの空気。

なんだか手放したくなくて、もう少し余韻を留めておきたくて。


Mr.Childrenの新曲を聴いて、静寂をも美しいって感想を抱いたのは初めてかもしれないです。


初めて聴いた時の感情や断片的に聞き取れた歌詞。

答え合わせをする前に、自分だけが感じた『永遠』との出会いを焼き付けておきたくて。


急いで聴き込むことも、理解する必要もない。

この先、丁寧に付き合っていきたい一曲のように感じました。


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