【SOUNDTRACKS】元ネタ、洋楽との共通点紹介【ミスチル】

【SOUNDTRACKS】元ネタ、洋楽との共通点紹介【ミスチル】 ミスチルのルーツ

2020年にリリースされた、Mr.Childrenの20枚目アルバム『SOUNDTRACKS』。

サム・スミスやU2の作品を手がけたスティーヴ・フィッツモーリスをプロデューサーに迎え、多くの名盤が生まれたRAK Studios(ロンドン)、Sunset Sound(ロサンゼルス)でレコーディングが行われました。

今回は『SOUNDTRACKS』収録曲の元ネタや、洋楽アーティストとの共通点などを紹介していきます。

『SOUNDTRACKS』の元ネタ、洋楽との共通点

DANCING SHOES

不穏なイントロから始まる1曲目。ダークサイドなミスチルです。

『DANCING SHOES』はLAのスタジオ、Sunset Soundでレコーディングされました。ローリング・ストーンズやポール・マッカートニー、ボブ・ディランなど、多くの有名アーティストも使用したスタジオです。


『DANCING SHOES』といえばイギリスのロックバンド、アークティックモンキーズにも同名曲があります。そして、アークティックモンキーズも同じくSunset Sound、RAK Studiosでセッションやレコーディングを行ったことがあるんです。

曲名が一緒なのは偶然かもしれませんが、2か所とも同じスタジオを使ってたなんて意外なところで共通点が見つかりました。

turn over?

ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』の主題歌。配信限定でシングル化されました。

まるで初期のミスチルを思わせる、爽やかでPOPな一曲です。

桜井さんによると、ジョン・メイヤーのギターストロークが気持ちよくてコピーしたところから始まり→そこに歌をのせてみるとエルヴィス・コステロっぽさがあり→さらにジョージ・ハリスン風味を加えて広げていった感じ...だそう。

「turn over」という英語には「ひっくり返す」「回転する」「ドキドキする」「考えを巡らす」などの意味があります。

〈君にドキドキしたり、恋心が変わっていく様子〉を表したタイトルだと思いますが、このアルバムがレコードでも発売されたことから〈レコードをひっくり返す、レコードが回る〉…といった表現にもかかってそうです。

君と重ねたモノローグ

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の挿入歌。同作品の主題歌である『Birthday』と一緒にシングルリリースされました。

2020年はドラえもんの連載が始まって50周年という節目の年。そして桜井さんも50歳となる節目を迎えるタイミングでのタイアップです。


演奏時間は7分32秒と、今回のアルバムの中で最も長い曲。

アウトロではオーケストラ演奏が繰り広げられてフェードアウト…かと思いきや、またドラムを先頭にフェードインしてきます。この演出はビートルズの『Strawberry Fields Forever』を思わせます。

losstime

サイモン&ガーファンクルを思わせるフォークソング。今回のレコーディングチームに大人気の曲だったそうです。

なかには「エリオット・スミスみたいだ」と言う人もいたそうで、LAへレコーディングに行った際に偶然エリオット・スミスのプロデューサーと会うことができた!といったエピソードも。


曲のコード進行、弦楽四重奏のイメージはビートルズの『Elenor Rigby』から着想したそうです。

Birthday

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の主題歌。今作のなかでも一番疾走感のある曲です。

ロックバンドThe Birthdayのように「大人になってもがむしゃらにかき鳴らしたい」というところからインスピレーションを受けたそう。

*ちなみに桜井さんの別プロジェクト、ウカスカジーのライブでPUFFYの『誰かが』(The Birthdayのチバさん楽曲提供)をカバーしたことがありました。


曲の構成としては、四つ打ち、ティンパニ、ストリングス、コーラスなど、コールドプレイっぽい要素が感じられます。


『SOUNDTRACKS』が洋楽っぽく聴こえる理由

ヴァース&コーラス形式の曲が多い

このアルバムがいわゆる“洋楽”っぽく聴こえるのは海外でレコーディングされたという理由もありますが、ヴァース&コーラス形式の曲が多いから、という理由もあります。

*ヴァース&コーラス形式とは

洋楽でよく聴かれる構成です。
ヴァース(Aメロ)コーラス(サビ) のような曲進行のことを指します。

一方、邦楽でよく聴かれる構成は
ヴァース(Aメロ)ブリッジ(Bメロ)コーラス(サビ)です。
よりコーラス(サビ)を盛り上げるための三部構成が主流となっています。

ブリッジ(Bメロ)を省くことで曲の構成がシンプルになっています。“メロディ”という情報が一つ減るので、その分バンドメンバーが鳴らす音やストリングス隊に耳を傾けて聴くことができるのではないでしょうか。

ボーカル≒バンドのミックスバランス

このアルバムを聴いたときに「あれ?桜井さんの声が小さい…」と思った方もいるかもしれません。

多くのJ-POPもそうですが、今までのミスチルはより“歌”を聴かせるためにボーカル>バンドのミックスバランス(音量バランス)で鳴ってることが多かったです。

しかし今回のアルバムでは、ボーカル≒バンドのように近しいバランスで鳴ってたり、場面によってはギター>ボーカルのバランスで鳴ってるんですよね。

これも洋楽っぽく聴こえるポイント。場面によって聴かせたい音量バランスを変えることで立体的な音像に仕上がっています。ミキシングを行ったスティーヴの技とも言えましょう。



立体的な音像や空間を感じさせる『SOUNDTRACKS』。こうしてレコーディングの背景や元ネタを辿ってみると、ビートルズがいた60年代からの音楽を継承しつつ、自分達の音楽に落とし込み広げていってるんだなって気づきます。

聴けば聴くほど愛着が湧いてくる一枚です。ぜひ聴いてみてくださいね。

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