1997年にリリースされたMr.Childrenの6枚目アルバム『BOLERO』。
CD売上枚数は累計328万枚。『Atomic Heart』に次いで自身2番目に売れたアルバムです。
ニューヨークでレコーディングを行った前作の『深海』では、ヴィンテージ機材を使用しアナログにこだわった作品を作りました。
対照的に、『BOLERO』は当時の最新デジタル技術を駆使して作ったアルバムです。10日間ほどロンドンに滞在し、ビートルズで有名なアビーロードスタジオでレコーディングを行いました。
今回はこちらの『BOLERO』から洋楽元ネタを紹介します。
Everything (It’s you)
『Everything (It’s you)』は1997年にリリースされた13枚目のシングル。
『Everything (It’s you)』の仮タイトルは『エアロ』。その名の通り、アメリカのロックバンド・エアロスミスを意識して作られました。
『What It Takes』からモロ影響を受けていますね。
エアロスミスといえば、B’zも強く影響を受けています。2021年にB’z主催でミスチルと対バンを行いましたが、そのなかで『Everything (It’s you)』をコラボ演奏したのが両ファンの間で大きな話題になりました。
タイムマシーンに乗って
歌詞に出てくる「ルイ・アームストロング」とは、歌手でもありトランペット奏者でもある、アメリカのポピュラー音楽史上屈指のエンターテイナーです。
続けて歌詞に出てくる「ワンダフルワールド」は、1967年に発表されたルイ・アームストロングの最高ヒット曲『What a Wonderful World(邦題:この素晴らしき世界)』のことを指しています。
ベトナム戦争を描いた映画『グッドモーニング、ベトナム』でこの曲が使われたことで広く知られるようになりました。
『12モンキーズ』という映画でもラストシーンにこの曲が流れるんですが、桜井さんはこの映画を見たことがきっかけで歌詞に取り入れたそうです。
日本国内でもCMに使われていたり多くのアーティストがカバーしていたりと、時代を超えて広く親しまれている曲です。
【es】 ~Theme of es~
8枚目シングルの『【es】 ~Theme of es~』。
アウトロには、キング・クリムゾンの楽曲『クリムゾン・キングの宮殿(原題:The Court of the Crimson King)』のフレーズがオマージュされています。
ジャケットが有名ですよね。プログレッシブ・ロックというジャンルを確立したと言われる超名盤です。
シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~
9枚目のシングルの『シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~』。
元ネタはエルヴィス・コステロ。スーツに黒縁メガネ、内股で歌うスタイルは『Pump It Up』のMVのパロディです。
エルヴィス・コステロは1977年にデビューしてから30枚以上ものスタジオアルバムを発表。60歳を超えていますが、2022年も新作をリリースするなど、まだまだ現役で音楽活動をされています。
桜井さんの歌声はエルヴィス・コステロに似てるってよく言われますよね。アマチュア時代に対バンした相手のバンドマンから「声が似てる」と言われたことがきっかけで興味を持ち、そこからコステロファンになったそうです。
ALIVE
『ALIVE』はロンドン滞在中にできた曲。
The Cureの『Last Dance』を彷彿とさせます。
The Cureは1978年にイングランドで結成されたバンド。ゴスメイクが特徴的ですが、明るくキラキラした曲もあれば、耽美で憂鬱な曲もあるなど、時代によって音楽性が様々に変化していくバンドです。V系界隈のみならず、国やジャンルを超えて多くのアーティストに影響を与えています。
L’Arc〜en〜CielやスピッツもThe Cureから影響を受けているそうです。
コーラス部分はU2の『Angel of Halem』ですね。
ボレロ
オーケストラを取り入れたサウンドが壮大な『ボレロ』は、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが1982年に作曲した同名曲が由来。
誰もが耳にしたことのある有名なバレエ曲です。
Tomorrow never knows
『Tomorrow never knows』は1994年にリリースされた6枚目シングル。
『Tomorrow never knows』というタイトルは、ビートルズが1966年に発表した同名タイトルから拝借しています。
曲の雰囲気は全然違いますが、英語の文法を崩した言葉遊び的なこのタイトルには、ちゃんとした元ネタがあったんですね。
こうして探してみると結構ありますね。
元ネタを辿っていくと新しい発見があったり、歌詞だけじゃなくサウンドやリズムの面でも深く知ることができたりと、どんどん音楽への興味が広がっていくと思います。
ミスチルをきっかけに少しでも洋楽に興味を持ってくれると嬉しいです。